※経歴・内容はインタビュー当時のものです。
日本画科選択は
私に合っていたと思います
私の通っていた中学と高校は美術を専門に勉強するような学校ではありませんでしたが、中学の頃から美術の授業が好きだったこともあり、高校1年生の頃から湘南美術学院に通い始めました。日本画科は自分の性質とよく合っていると考え選択しました。
受験生の時は、基礎的な技術力の向上の他にも、出題者の意図と自分の視点を作品内でうまく融合させて制作する難しさに日々頭を悩ませていました。そのような中で体力面も精神面も鍛えられ、予備校で得た基礎体力は大学の時や現在でも活かされています。
今に繋がることの
多くを学んだ大学生活
美術大学のカリキュラムは美術の専門分野はもちろんのこと、一般教養の学科、心理学、文化人類学などの様々な分野があり、興味のあるどの分野も勉強することのできる環境が整っていました。在学時には作家活動もしており、相手の求めているものを作って喜んでもらえることが嬉しく、小さな活動をこつこつと続けていました。また、学芸員の資格過程では作品の扱い方や展示、展示環境、広報活動などが総合的に学べ、様々な方面の方との交流があり、美術活動の幅広さや価値観の多様性を知るとても良い機会でした。
大学院では文化財の保存修復と古典絵画の模写について学び、現在の仕事の礎となる知識と技術を身に付けることができました。その経験を活かし、現在は主に東洋の絵画、書蹟、歴史資料などの修理を行う会社で働かせていただいています。作品やものの修復は、人や動物が病気やけがをしたときと同じで、一つ一つの状態を調べ、分析し、その症状に合った修理方法を選択していく仕事です。
修理方針を立て、的確な処置が行えるようになるまでには多くの経験が必要になってきます。1つの作品が存在する背景には作られたその時点から現在までに、材料とその製造技術、制作者や依頼主、修理者、保存活用の経緯、鑑賞者、研究者など、ものの価値を伝えていくための様々な関わりと行為の連続が存在します。その一つ一つの事象を分析し、より安全な材料や方法を選択することや後世に残していくために必要な処置を常に考えていくことが大切になります。とても難しく繊細で責任のある仕事ですが、やりがいのある仕事と言えます。
自分の関心事を突き詰めてみる
今、進路に悩んでいる人は、普段の生活の中でふと気づいたことや気になることをどんどん突き詰めていってみてください。私がこの分野に進むきっかけとなったのも、お世話になった専門家の先生が書いた文化財の対症修理に関する文章と出会い、その先生に直接教わる機会を得たことからでした。自分が何に興味を持っているのかを知り、興味のある分野に関連する仕事をしている人から色々な話を聞くことで自分の将来の視野も広がると思います。
PROFILE
私立横浜富士見丘学園出身
湘南美術学院[ 基礎科 > 日本画 ]> 武蔵野美大 日本画学科 卒業 > 東京芸術大学 大学院 美術研究科 修了
2012 | 武蔵野美術大学 造形学部日本画学科 卒業 |
2016 | 東京芸術大学大学院 美術研究科文化財保存学専攻 保存修復日本画研究室修了 株式会社坂田墨珠堂 入社 NPO JCP(特定非営利活動法人 文化財保存支援機構)一般会員 |
受賞歴
2013 | 第9回 中札内村 北の大地ビエンナーレ(入選) 第24回 上野の森美術館 日本の自然を描く展(入選) 第1回 金谷美術館コンクール展(入選) 第69回 ハマ展(入選) |
2014 | 第69回 ハマ展一般受賞者展 第23回 全日本アートサロン大賞展(入選) |