空間に対する深い洞察力・総合的な構築力

建築科は芸大・美大・実技を伴う工学系、いずれの志望校であっても、特殊な実技力/高次元の描写力を求められているわけではありません。しかし、平面と立体の行き来、美術・デザイン・物理/社会と幅広い教養と意識が必要な科です。何よりもまず基礎力をしっかりと身につけることが、合格への一番の近道となります。言うならばそれは、大学進学後に建築を学ぶ(設計課題に取り組む)ために必要な準備といえるでしょう。この受験期に身につける“深い基礎力”は、これから先、多岐にわたって自分の支えとなっていきます。

どのような科ですか?

1

建築科では、空間描写・造形力・提案性・仕組み(構造)への興味/提案、幅広い総合力が問われます。

総合表現

立体構成

建築写生

空間構成

静物デッサン

作品解説

2

課題文:提示された6枚の展開図を組み立て、下記の立体図になるものを2枚選び、この形を用いて空間を構成、描写せよ。

〔展開図〕

〔立体図〕

〔空間構成〕

〔条件〕

立体のうち1つは地面と接していること

画面は横使いとすること

任意の平行構成を設定し、床に落ちる影まで描写すること

[用紙] 画用紙B3

[制作時間] 3時間

〔解説〕

空間構成では以下の3点を主な軸として評価しています。

・立体を理解する図学読解能力

・それらの特性を生かした構成能力

・多くの条件をメリットとしてクリアする問題解決能力

この問題では、まず図学問題として展開図を脳内で立体に組み立てる力が問われていますが、これは実際の設計でも、図面を脳内でつなげて建築空間を創造するために必要なスキルです。普段から平面⇔立体の行き来を様々な図学問題を通して実際に学び、体感的に理解していくことが重要です。

 

次にその立体の特性を考えてみます。たとえばこの作品では、立体の“2方向へ伸びるような形”の特性を生かし、それらを立体的に交差させ、形が持つ以上の空間を表現することに成功しています。一見平面的に作り出したように思える配置ですが、そこに張り出した形が落とす影や立体が作り出す不思議な余白が計算されて付加されることで、実際に手を加えた以上の範囲まで一つの空間として構成に取り込めています。

 

また、条件の「立体のうち1つは地面と接していること」に関しては、2つの立体の高さが同じことを利用し、片方を地面に、もう片方を浮かせることによってその間に出来る隙間を生み出し、2つの形態の関係を説明するためのメリットとして活用できています。実際に建築を学ぶ上でも様々な法律などの条件が無数に要求されますが、それをネガティブに避けるのではなく、むしろポジティブに利用することができたらなんだか素敵ですよね。

 

この作品は立体が前に張り出した迫力のある構図をとりつつも、実は立体同士の奥行き感はまだ弱いという弱点があります。立体の奥行きが見える位置に少し視点をずらしてあげるだけで、ぐっとわかりやすくなるはずです。平面と立体のはざまの構成がこの作品のおもしろさではありますが、建築はあくまでも第三者にその魅力を伝えなければなりません。自分がやりたいことがはたして他人に共有できるか、客観と主観を繰り返し行き来しながらそのすり合わせをしていく作業も建築の面白いところです。

ココがチガウ!!

3

ショナビの建築科には授業の周縁に様々な“経験”がちりばめられています。合同授業・野外研修など他科との交流や価値観の交換が美術的教養を深め、建築科研修旅行での実際の建築や空間体験が制作への後押しとなります。また、講師、OB・OGがバラエティ豊かで、個々の持つ建築への世界観や関心が日々の指導や講評に活かされ、それらの中に生まれる生徒、講師、OB・OGとのコミュニケーションが、ショナビの建築を強くしています。

ショナビLIFE

4

最終的には想定による空間描写が受験課題となります。実際に見て描けないものは、想像で描けるはずがない。その見地から、まずは静物デッサンや建築写生など、実際の対象を見て描くこと、体感することを主軸に、経験を積み上げていきます。また、立体構成では立体的、造形的感覚を身につけます。それらの実技種目を通して、最終的に重要となる空間・建築的提案性の引出しを増やし、その中身を充実させることが、一年を通した主題です。

Architecture

横浜校

土曜 13:30-20:30 日曜 9:00-17:00(2019年3月迄)

芸大美大・工学系コース(高校生/高卒生)

工学系土曜コース(高校生/高卒生)土曜 13:30-20:30(2019年3月迄)

工学系日曜コース(高校生/高卒生)日曜 9:00-17:00(2019年3月迄)

ジュニア科

基礎科

油画科

日本画科

彫刻科

工芸科

デザイン科

建築科

先端芸術表現科

受験デッサン科

美大学科

建築科SPコンテンツ

建築科 課題解説
建築科は何する科?

あまり周知されていませんが、建築科は“やるべき事”の多い科です。なぜそうなのでしょうか?

我々は将来“設計”に携わります。小さなデザインから、家具、インテリア、住宅、公共施設、都市計画。私的なものから公共のものまで。多岐にわたる分野とスケールを行き来します。まだ世に存在しない計画を具現化させていく社会に対しての提案者になるわけです。まだ見ぬものの提案から設計・施工監理を行います。当たり前のことですが、建物ひとつつくる時、全体の概要からディテールに及ぶまで、形、構造、寸法、素材、工法等、予算調整、社会的提案、それらすべてを取り仕切る役を担います。それが設計者です。そのため単にデザインをするだけでなく職能として様々な断面を考察し関連性の均衡をつくっていかなくてはなりません。それを目指す科なので、やるべき事が沢山あるのは必然なのでしょう。

そんな建築科の、受験に必要な力、求められる力は、実技修練で得たもの・身に付けたものの上澄みを行使するイメージかもしれません。物凄い描写力や完成度よりも、共有と共感を生む表現力をいかにして構築していくか、その検討の量や発想力、計画性を問われる科です。この上澄みは広く深い基礎に依存しています。例えるなら富士山の裾野の広さや、氷山の一角といったイメージです。ショナビの建築科では、1年を通して、この広い裾野や、水面下の氷塊を築くために、様々な種目に取り組んでいきます。

【スケッチ/クロッキー】〜感覚的速記〜

パースや図法といった理屈に頼ることなく、感覚的に対象を捉える修練。論理的に裏付けられた力と並行して、印象や感覚が持つ力も大切にしてください。

効率的に修練するために、対象を便宜的に分別してみる。人体/工業製品/自然物/空間。これで大概は網羅できるはずです。建築科が将来目指すところの建築は、これらすべてが内包されています。ひとつの空間を設計すると、庭や外回りには植栽があり、素敵な家具や家電が並び、必ずそこには人の活動が生まれます。貪欲に何でも描けるようになってください。

またクロッキーは日常の中に“興味の対象”を見いだす練習でもあり、そのアンテナの感度を研ぎ澄ます役割も担っています。我々の描く行為には同時に観察、洞察することが付随しています。幼稚園を設計する際には、子どもの活動とそれを見守る大人の活動と社会におけるその在り方を知らなくてはなりません。

そしてもう一つの役割として、エスキース上でのイメージの定着に重要な役割を果たします。速記ができれば、頭の中に次々とわいてくるアイデアやイメージを逃さず描き留めておけます。この頭と手の楽しい追いかけっこを早く経験してください。

ひとつ到達の目標は、空間のスケッチであれば狙った範囲を自由自在に切り取り構図化できること。もの単体なら画面の狙った位置に狙った大きさで収める。形はできるだけ違和感のないように。内部構造まで見通すような意識で。線画の状態で誰が見ても形や空間が認識できると良いでしょう。とにかく最初は量。ひたすら量。そしてだんだんと質と量を入れ替えていってください。

【静物デッサン】〜みる≧描く〜

言わずと知れた美術教養の基本。画面に収める構図感覚。鉛筆の使い方。素材や光の観察と表現。なにより個々で大切なのは“よくみる”ことだと思います。多角的に対象を捉える。6時間経た後でもまだまだ発見できることがあるはずです。この執着は「みえていないものは描けない」という考えに基づいています。少し言い換えるなら“意識できていないものは表現できない”でしょうか。モチーフにまつわる光や影/陰を、その場のその瞬間を含めて“意識”してください。多分それが本当の意味での俯瞰であると考えています。

建築科では、コンクリートブロック、レンガ、角材、瓶、缶など、基礎形体感の強いモチーフを多く用います。個々の形状も大切ですが、それらの組み合わせが生み出す構成・隙間や抜け・量感・距離感・陰と影・光の状況が特に重要です。それらを総称して“空間”と呼んでいます。ここでの得たものは後々想定系のデッサンでの表現力につながっていきます。引き出しを満たしてください。

【建築写生】〜空間を感じる〜

季節ごとの陽射し、吹いてくる風、草いきれ、人の往来。大きくてリアルな空間を頭と体に取り込みます。あまり意識はしないと思いますが、それら五感での空間体験が知らず知らずのうちに経験値として積まれていきます。また社会的な存在/立場として、公の場で画を描く行為はことのほか目立ちます。色々な人から声を掛けられ、想定外の状況が生まれることも多々あります。

そのような状況で、どのように立ち振る舞い、目的を達するか。それも建築的な大切な学びになっていきます。

技術面では、実空間上での距離感・スケール感や、色彩の明度・彩度を学びます。また、制作行程の組み立ても大切な要素です。今の作業と次作業の関連性や因果関係を理解し制作行為全体を俯瞰していくことが上達への近道です。

【立体構成】〜学びが沢山詰まった宝箱〜

課題文から条件を読み取り、そこへやりたいイメージを付加し、案を具現化させます。

「やりたいこと」「やるべきこと」「やれること」このバランスが問われる種目です。特に真剣勝負感が強く、時に“立たなかった”という状況に落ち入ります。そこには様々な原因があり、大きくは、「計画上の問題」「構造上の問題」「技術的な問題」に分別されます。まずはその原因を見極めることが大切であり、ひとつの課題を学び尽くす大切な作業です。立体が立たない大きな原因は先に述べた3つのバランスが崩れていることに尽きると思います。大概の場合、格好いい・面白い・凄いといった制作を目指すと思いますが、立体構成の場合、それなりの裏付けがないと具現化されません。そのためついつい飛躍してしまう目的意識を、簡単・単純なことを、格好よく・面白く・凄くしていく方向に修正してみるといいかもしれません。少しの操作で形体感や空間性が激変する感覚を焦らず欲張らず経験してください。

発想から実空間を立ち上げていくので、かなり建築設計に近い種目です。イメージと現実の調整、材料の量的・強度的制約、施工性・技術力。立つか崩れるか、力学的構造感覚。イメージから寸法を決めて展開図を描いて工作する作業計画性。そして立ち上がった立体構成は、再びスタディの素材になります。具現化した空間/立体造形をもとに更なるスタディを重ねてより良い空間や形を模索しましょう。

【想定系課題/空間構成・総合表現】すべての種目はここに集約される

「あなたの空間的、美術的興味は何ですか?

それを条件の中で表現してください。」そう問われているものと考えてください。自分なりの”格好いい”や、世界観、造形力が問われます。常日頃からアンテナを張り、引き出しを増やし早くそれを満たしていきましょう。それには一般的な建築的素養に加え、自分なりの“空間論”や“造形論”が必要です。そして、ここでもう一つ重要なことは、それらの“興味”や“持論”が一般論、社会性の中でどのような立ち位置にあるのかを俯瞰し、自覚することです。公共性を要する“建築”科は独りよがりでは成り立ちません。そして、経験したすべての種目で得たものを総動員してエスキースを行ないます。その際にひとつ大事なことは、無限の可能性の中から、目的と手段の相性を検討していく際の指針、設計主旨/コンセプトにあたるものです。表現するものが何なのか明確にする。そのまだ見ぬ世界・空間を描写するために沢山エスキースを重ねてください。可能性を案として比較検討していくエスキースはとても重要な過程です。鉛筆1本、紙1枚あれば無限の世界を構想することができる。自信と誇りを持って挑んでください。

鎌倉大船校

〔アクセス〕JR大船駅北改札笠間口から徒歩5分

〔住所〕〒247-0056 神奈川県鎌倉市大船2-18-28

〔電話〕0120-978-582 0467-46-1338

〔受付時間〕月〜金9:30~13:30/14:30~18:00 土9:30~12:30/13:30~18:00 日9:30~13:30

横浜校

〔アクセス〕JR横浜駅南改札みなみ西口から徒歩5分

〔住所〕〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸2-11-15

〔電話〕0120-345-471 045-548-6500

〔受付時間〕月〜金9:30~13:30/14:30~18:00 土9:30~12:30/13:30~18:00 日9:30~13:30

横浜青葉台校

〔アクセス〕東急田園都市線青葉台駅から徒歩7分

〔住所〕〒227-0054 横浜市青葉区しらとり台2-32

〔電話〕0120-850-737 045-985-0675

〔受付時間〕月〜金9:30~13:30/14:30~18:00 土9:30~12:30/13:30~18:00 日9:30~13:30

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任意の平行構成を設定し、床に落ちる影まで描写すること

[用紙] 画用紙B3

[制作時間] 3時間

ココがチガウ!!
ショナビLIFE
Architecture
建築科 課題解説
建築科は何する科?
【スケッチ/クロッキー】〜感覚的速記〜
【静物デッサン】〜みる≧描く〜
【建築写生】〜空間を感じる〜
【立体構成】〜学びが沢山詰まった宝箱〜
【想定系課題/空間構成・総合表現】すべての種目はここに集約される
空間に対する深い洞察力・総合的な構築力
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