YAMAMOTO
山本亮介さん

スキーマ建築計画

※経歴・内容はインタビュー当時のものです。

多岐に渡る現在の担当業務

現在は東京芸術大学、東京工業大学、京都大学、早稲田大学などの出身者で構成されている建築事務所で、チームリーダーの一人として、ディレクションからプロジェクトマネージメントまで10物件を同時に統括しています。プロジェクトの企画から完成までの全体を把握し、デザイン業務やコミュニケーション業務、さらには休憩の時間までも計画的にコントロールしてプロジェクトを動かしていくのは、大変ですがやりがいのある仕事だと感じています。

仕事の範囲は、建築設計にとどまらず、ショップや家具、照明のデザイン、企画展の出展まで広く取り扱っています。一つの企画に対してプロダクトデザイナーやグラフィックデザイナーなど他ジャンルの人達との共同作業も多くあります。チーム全体をどう導くかによってプロジェクトの質が変化しますので、スタッフ間やデザイナーの方との打ち合わせなど、コミュニケーションを大切にしています。

自分の武器を
いかに仕事で活かすか

私は、小学生の図工の宿題で授業で学んだ「縦穴式住居」の模型を作ったり、家でも棚を作ったりとモノを作ることが好きな子どもでした。高校生の時、美大に建築科があることを聞き、意匠建築を学ぶことのできる美大に進学をしようと決めました。受験の時は、建築科は実際の大きなスケールで「建築」することはできません。だから、彫刻科や油画科など、1/1の大きさで作品を作っている他の科の人と話をすることは、とても新鮮で制作する上でよい刺激になりました。

また、当時は、建築関係の仕事をしている講師や大学で建築の課題をこなしている学生講師の姿を見たり話を聞いたりすることで、新しい世界に憧れを持ち、早く大学へ進学したいとモチベーションが高くなりました。初めは、自分が芸大進学をするイメージが持てず、「芸大は特別な人がいくところ」と感じていました。しかし、建築科主任の「なんで?受ければいいじゃん」の一言が、自分の“当たり前”を壊し、芸大のイメージに気負うことなく、自分のステップをワンランク上に持ち上げてくれました。「自分はこれくらいだ」と限界を決めず、失敗を恐れずにやってみることが非常に重要だと気付かされ、それは働いている今も心がけていることのひとつです。

©Takumi Ota

受験期や美大で身につけた“絵を描ける、スケッチが描ける”ことは、働いてからもスキルとして大変役立っていますし、それが自分の強みであると自負しています。構想スケッチを見せれば、クライアント側もイメージを膨らませやすく、企画を理解していただく上では重要な行程だと考えています。

物の捉え方やイメージは、その人がどういう経験を積んできたかで受けとめ方が変わります。たとえそれが失敗だったとしても、一歩踏み出せた経験は自身の成長につなげることができます。自分自身をワンランク上にあげるためにこそ、失敗を恐れず何か新しいことにチャレンジし、経験の幅を広げてみてください。そういった経験を積み上げて行くことで、洗練されていき、自分自身のできることが増えていくのではないでしょうか。

©Takumi Ota

©Takumi Ota

カリフォルニア州オークランド発の「ブルーボトルコーヒージャパン」の店舗設計を担当し、スキーマ建築計画は大きな注目を集めた。国外1号店となる清澄白河ロースタリー&カフェ(2015)は、倉庫からの改修計画で、生産拠点となる、焙煎所・カフェ・オフィス・バリスタを育てるトレーニングルーム・ペイストリー工場を兼ねている。

Marimekko「MARIKISKA IN TOKYO @ROCKET」
会場構成のためのスケッチ (2012)

PROFILE

神奈川県立 瀬谷高校出身
湘南美術学院[ 建築科 ]> 東京芸術大学 大学院 建築修了